文字ばかりでズラズラと並べても分かりづらいかと思いますので、『美容師』という例をもとに、サービス設計をおこなったパターンをご紹介します。
美容室や、店舗のサービス設計をもとにした場合は、企業単位でサービス改正が必要になりますが、美容師という一個人でブランディングをし、サービス設計をするのは手順に沿っていけば今日から誰でも作る事ができます。
個人美容師の成功例
5年前、私は一切売れない美容師でした。
月間300人担当。そのうちお客様のリピートは10人ほど。(3−5%程度です)
それが1年未満で、インスタグラム指名売上70万〜100万を安定して生み出す事ができるようになりました。
リピート3〜5%というのは、美容師としては最低の数字です。当時特に得意とする技術はなく、当時の会社看板メニュー『縮毛矯正』もお店の中でアシスタントよりも下手という失態でした。
あまりにもリピートがなく、昇給されるはずのお店の指名売上15万の壁すら超えられず、18万の給料から変わりません。
私は『なんとか苦手を克服しなければ。』という一心で、縮毛矯正を取得した後お店を辞め、一番苦手だったヘアカラーを克服するため、ハイトーンを得意とする美容室にフリーランスという形で所属することにしました。
そこで学んだのが、『サービス設計』です。
当時は感覚、無意識でサービス設計しておりましたが、
1年未満で、月間インスタグラム指名売上70万〜100万円を作る事ができました。
(これは人数に換算すると、お客様単価が1人7000〜8000円でしたので、約100〜140人の方のご来店を促していた、ということになります。)
今回は、この当時の無意識のサービス設計を言語化したものを一部紹介していこうと思います。
前回の記事の手順を基に進めていきますので、まだ読んでいない方はこちらから読むのをお勧めします。
個人美容師の3C分析
美容師としてお客様が何を求めているか、という市場環境を、顧客、競合、自社に分けて調査します。
Customer : 顧客調査
- 2兆1000億円 理美容院の国内市場規模(株式会社矢野経済研究所による調査)
- 26万4223軒 美容院の数は増加傾向(厚生労働省統計より)
- 全国平均単価 6000円前後、減少傾向(厚生労働省調べ)
- 世間での賃金増加も無く、美容室から足が遠のく
- 従来通りではメニューが多すぎて選べない
- 美容院で選ぶより、美容師で選ぶ人が存在
- 1度の支払いが小さくはないので、知らないところへ行っての失敗を避けたい
- 古い場所よりハイセンスな空間に居たい人が存在
- より人に見られたい、賞賛されたい人が増加
- SNSの流行により、世代間関係なくトレンド追う傾向がある
こういった市場でのニーズが存在しました。
競合の特徴は主に下記の通りです。
Competiotor:競合調査
- 一般美容院では、平均単価6000円が主流
- aube 310店舗 年商100億円
- minx 銀座店 店舗売上 12月6000万円(Beautopia様より)
- Album 4店舗売上 10億円(2018年時)(WWDより)
- 美容師一人当たりの生産性 約120万円/月 (カット6000円×8時間×25日出勤の場合)
- 安価な店舗 54万円/月 (カット2400円×9時間×25日出勤の場合)
- 安価、高価な店舗共に回転率を重視
- サービスは一貫してカット、カラー、パーマ、縮毛矯正、ヘッドスパ、トリートメントと商品の種類がどこも一緒で多い
- 転職が多く、どこもサービスの品質が一貫しない
- 個人美容師は単価の取れる技術に重点を置き始める=専門技術が売りの時代に
自身の特徴を書き出していきます。
Company:自社分析
- 平均生産性85万/月
- 回転率は一般的(カット1時間/1人)
- 一般的なメニューは全てこなす
- 韓国人の知り合いを増やし、トレンドをキャッチ
- 低価格(カット2100円)
- ハイセンスな空間にいる
- インスタグラムフォロワー当時1000人
上記から、競合に負けず、顧客の求めるものを満たすのは、低価格なのにハイセンス空間で、韓国のトレンドを知っていた事でした。
ということでビジョンは、『日本にいながらリアルな韓国人のヘアスタイルを提供すること』に仮設定しました。
個人美容師のSWOT
自身の特徴をさらに分けて考えます。そうするとさらに何をすべきなのか具体的になってきます。
強み | デメリット |
---|---|
・リアルな韓国人に見えるようにするためのメニューを提供できる ・内装がハイセンス ・可愛く写真を撮れるスポットもある ・低コスト | ・一般的なメニューは全てこなせる・低価格サロンだが、メニューを組むと高くなる ・違う分野のトレンドは無知 ・落ち着いた雰囲気はない ・年齢層高めの方には若すぎて入りづらい | ・知名度が低い
拡大可能性 | デメリット |
---|---|
・メニューのオーダーメイドを求めている ・店舗の増加による美容師難民が多数存在 ・市場規模が大企業の売上よりも遥かに大きく、美容市場は独占化されづらいと予測できる | ・メニューのシンプル化を求めている・個人でのサービス展開の場合、同じ理念を持ったより影響力のある人間が出てくる事がある ・近隣に同じコンセプトのサロンができ、競争が激化する可能性がある | ・トレンドが終わると客離れが起きる可能性がある
ここで出た緑の部分の強みは、全て実行することで差別化し、デメリットの部分はいずれ出てくる問題で対処していかなければならないため、あらかじめ把握しておくことをお勧めします。
個人美容師のSTP
ここで利用してもらいたいユーザー像を明確にしていきます。
S:セグメンテーション
年齢と利用用途で分けた場合、こういった市場が存在します。
私の場合、契約を交わしている美容室が若年層向け、トレンド系サロンだったため、こちらの市場に決定します。
T :ターゲット
こちらに分割された市場から、さらに狙うべき市場を絞っていきます。
私の強みは、リアル韓国のトレンド発信ですので、集中型マーケティングにあたる、ニッチな層を狙っていくことになります。下図、横軸は日本トレンドか海外トレンドどちらに重点を置いているか、縦軸は、歌手などの有名人のようなスタイルを売りにしているのか、一般向けのスタイルを提供しているのか、の軸です。
なんとなくリアル韓国系なら人気出るかな?と当時思って始めたのですが、こうしてセグメンテーション、ターゲット分けしてみると、海外の一般人のようなスタイルを作っている美容師さんはほとんどいなかったのです。
韓国ブームの後押しもあり、非常に韓国の一般人ファッションが流行っているところを見ると、個人として攻めるのであれば、非常に十分な顧客数を見込めることがわかります。
P:ポジショニング
ポジショニングに関しては、他に売りにしている方がいらっしゃらなかったので、比較する必要がありませんでした。
需要はあるのに、供給がほぼ0の状態だった完全なブルーオーシャンという事です。
個人美容師の4P
ここで売る商品、価格、販路などを決定していきます。
P:商品
提供場所都心エリア、低価格、若年層向けの美容室であること、『リアル韓国スタイルオーダーメイド』をSNS上でカウンセリングすることにより、より若年層がリーチしやすい商品にしました。
P:価格
利益:高単価サロンに少しでも近づくためには、カットを売りにするのは危険でした。2,100円にトリートメントをつけても良いのですが、『美髪コンセプト』を売っているわけではないですから無しです。私は、時間単価をあげるため、ブリーチカラーを推し進めました。4、5時間で26000円まで価格が上がりますから、時間単価2100円が、5000〜6000円まで上がります。価格はお店設定なので変えられませんでしたから、粗利(利益ーコスト)としては、4500円〜5500円ということになります。
需要:一般的に、カットブリーチは30000円〜が相場です。元々の設定が低いですから、クオリティが多少低くとも価格の納得はしていただけますが、得意分野で押し出していますから、それ以上のものを提供できるので、より価値を感じていただけます。
競合:競合はいませんでした。強いて言えば、韓国アイドル推しの方がいましたが、私とはタイプが違うので、競争に巻き込まれることはありませんでした。
P:販売場所
販売場所は、もちろん店舗です。
ですが、SNSでお客様とやり取りをし、オーダーを受ける、というカウンセリングはオンライン上でした。
P :販促活動
私は、『低価格で可愛くなれて、本場の韓国に行かなくても地元スタイルができます』
といった具合で広告しました。
認知:インスタグラムがメイン(若年層向け)
喚起:ホットペッパー(ここは会社頼りでした。本来は自身のHPが良いです)
意思決定:DM, 口コミ
この流れで販促活動を行いました。
といった具合で、サービス決定をし、販促の方法も決めていきました。
1から分解して明確にしていくことで、頭の中がすっきりした状態でサービス決定ができますから、個人美容師でも他の人がやっていない分野で活躍する事が可能になります。
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